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SNSの流行り廃りに右往左往しない「インフラ」の強さと、人が熱狂をシェアする瞬間の「感情」――Greenfly CEOの言葉から見えた本質

インサイト

デジタル上で消費されるコンテンツの大半がショート動画となり、その中でもスポーツは世界全体の可処分時間の約10%を占めるまでに拡大しています。

従来のテレビ生中継が「体験の核心」であることは今後も揺るぎません。ショート動画が中継の視聴を奪うことはなく、むしろ「午前3時に起きてまでは観ない層」を刺激し、次のライブ観戦へと人々を誘う起爆剤(拡大装置)として機能しています。

米消費財大手ユニリーバが従来のテレビ・メディア広告予算の最大80%をショート動画クリエイターへシフトさせようとしている動きを見ても、短尺コンテンツ経済への投資はもはや後戻りできない潮流です。

先日、GreenflyのCEOであるDaniel Kirschner(ダニエル・キルシュナー)氏が出演したポッドキャストを聴くなかで、日頃スポーツビジネスやSNS戦略を考えるうえでハッとさせられる、本質的な示唆がありました。

流行に左右されないための「インフラ」という思想

ソーシャルメディアの主役は、驚くほどのスピードで移り変わります。かつてはFacebookのテキストや画像が中心だったものが、Snapchatのストーリーへ、Instagramのリールへ、そしてTikTokへと急速にトレンドが遷移してきました。今もThreadsやBlueskyといった新たな分散型SNSへの対応が話題に上ります。

プラットフォームが乱立し、アルゴリズムが目まぐるしく変わるたびに、多くの現場は「次はどのSNSに最適化すべきか」と右往左往し、ワークフローを根底から見直す羽目に陥っています。

しかし、キルシュナー氏はこう語ります。

「インフラさえ整っていれば、これまでのすべてを根底から覆すことなく、そうした変化に対応できる。この貴重なコンテンツを調達、管理、整理するためのインフラが整っていれば、そのコンテンツの移動先が変わったとしても、それに対応することができる」

コンテンツの「行き先(SNSの出口)」は時代の風向きで変わります。しかし、「現場で最高峰の素材を生み出し、AIで即座に整理・タグ付けし、適切なクリエイターや選手の手元へ安全に届ける」というコンテンツサプライチェーンの基盤(インフラ)さえ自前で持っていれば、出口がTikTokから別の新プラットフォームに変わろうとも、現場の運用は何ひとつ揺らぎません。

Greenflyが単なる便利ツールではなく、スポーツ界の「基盤インフラ」と呼ばれる理由が、この言葉に凝縮されています。

エンゲージメントの数字以上に、「その時、どう感じているか」

もうひとつ、胸を打たれたのが「シェアの背後にある人間の感情」についての洞察です。

多くのマーケティング現場では、インプレッション、再生回数、エンゲージメント率といった「無機質な数値」ばかりがKPIとして追われがちです。しかし、キルシュナー氏が投げかけた視点はまったく違っていました。

「エンゲージメントが重要であるだけでなく、人々がエンゲージしている時にどう感じるかも重要である」

スポーツコンテンツの原動力は、理屈ではなく「感情の揺さぶり」です。

大逆転勝利に沸くスタジアムの熱気や、優勝パレードで街中が歓喜に包まれる瞬間、ファンはその至福を何度も反芻したくて動画をループ再生し、友人へシェアします。一方で、惨敗した直後に試合の長尺ハイライトを見たいファンはおらず、失意の選手たちも動画をシェアしたいとは思わないでしょう。

Greenflyを導入している海外トップリーグでは、95%以上のアスリートが任意で自発的にコンテンツを投稿しています。契約上の義務も、投稿への報酬支払いも一切ありません。

なぜ選手が自分から進んで投稿するのか。それは「ファンと喜びを分かち合える、自分が心から誇らしいと思える素晴らしい素材」が、試合直後のスマホに届くからです。選手自身の「伝えたい」というポジティブな感情と、ファンの「感動を共有したい」という感情がピタリと重なるからこそ、公式アカウント単体では絶対に生み出せない爆発的な熱狂が生まれます。

熱狂を資産に変えるために

テクノロジーとは、ただ業務を自動化するだけのものではなく、現場のインサイトや人間のリアルな感情を増幅するためにあるべきです。

どんなに新しいSNSが登場しようとも揺るがない「強固な配信インフラ」を整えること。そして、画面の向こうにいるファンやアスリートが「その瞬間に何を歓び、どう感じているのか」という感情の導線を見つめ続けること。

これからのスポーツマーケティングにおいて最も大切にすべき指針が、この対談には詰まっていました。

【参照元ポッドキャスト】

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